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ギリシャ救済から7年、貧困が深刻化

社会

ロイターが、深刻化するギリシャの貧困状況を特集しています。

2010年、債務危機に陥ったギリシャはEUとIMF国際通貨基金)の救済資金により、破綻を免れました。

救済の条件として、ギリシャは緊縮財政を受け入れます。

緊縮財政により幅広い分野での歳出カット、税率の引き上げが実施されました。

様々な生活保障費用の削減、年金支給額の削減も行われました。

ギリシャの年金は現役世代の保険料負担だけでは賄いきれずに、政府が不足額を補填しています。政府支出を減らすため、支給額が削減されたのです。

年金受給開始年齢は2010年に65歳に引き上げられ、2012年には67歳に引き上げられました。

ギリシャでは元々、55歳から年金の早期受給が可能でした。受給開始年齢が引き上げられたことで、年金を頼りに人生設計をしていた人の中には、年金が貰えず、年齢的に再就職も難しく、無収入状態になり、一気に貧困状態になってしまった人もいます。

73歳のある女性は、かつては生活困窮者の支援を行っていましたが、今では、生活困窮者の1人として生活しています。

1カ月の収入は332ユーロ(約4万円/1ユーロ=120円)です。半分以上は、小さなアパートの家賃に消えます。

彼女は「こんなことになるとは思いもよらなかった。」と語ったそうです。

多くの人が同じ心境だと思います。

破綻救済から7年が経ちましたが、ギリシャでは貧困が深刻化しています。

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出典: ロイター

グラフは、2008年から2015年にかけての、各国における「物質的に深刻に困窮」している人の割合を表しています。

青色は貧困状況が改善していることを、赤色は貧困状況が悪化していることを表しています。

薄字が2008年、太字が2015年の「物質的に深刻に困窮」している人の割合です。

まず気がつくのは、ギリシャ貧困率はEU内で最悪ではありません。

最も貧困率が深刻なのは、34.2%のブルガリアです。続いて、ルーマニアが22.7%、ギリシャは22.2%と3番目です。

次に目が行くのは、貧困率の変化です。

ギリシャは2008年から2015年にかけての7年間で、最も貧困率が悪化しています。ギリシャで暮らす人々は、「生活が苦しくなった」と感じているはずです。

一方のブルガリアルーマニア貧困率は改善しています。これらの国々で暮らす人々は、「生活は良くなった」と感じているはずです。

ギリシャの首都、アテネにあるとあるフードバンクでは、月収約370ユーロ(約45,000円/1ユーロ=120円)以下の人々に食料を配給しています。

フードバンクの登録者は2012年には2500世帯でしたが、2014年には6000世帯になり、現在は1万1000世帯(約2万6000人)が登録しています。このうち、約5000人は子どもです。

フードバンクで供給する食料は、食品メーカーなどの企業からの寄付で成り立っています。これらの企業自体も経営が悪化しているため、フードバンクの運営も厳しい状況です。

幼い子どもがいる家庭にはミルクを提供していますが、「日によっては、彼らのためのミルクさえ入手できない」そうです。

ギリシャ危機以来、ギリシャの経済規模は3分の2に縮小し、何千社もの企業が倒産しました。

経営者団体のGSEVEEや世論調査会社マルクの調査結果によると、昨年1年の間だけを見ても、75%以上の世帯が所得を大幅に減らしたそうです。ギリシャ全体の失業率は20%を超え、3分の1の世帯は少なくとも1人の失業者を抱えています。

水道、光熱費の支払いに困る人も増えています。

ギリシャには、食料の施しを受けるのは不名誉である、という意識があります。

最初に登場した73歳の女性は、「質素な暮らしをしていた。休暇を取ったこともない。何もしたことがない、何ひとつ」と語ったそうです。

真面目に働き、自分の力でしっかりと生計を立てていた人が、日々の生活さえ満足に送れない状況に陥っています。

参考

アングル:貧苦に沈むギリシャ、救済7年後の重い現実 | ロイター